永代供養墓を安置する場所と種類について
永代供養簿は遺骨を安置する場所によって屋外・屋内のいずれかに分けられます。さらに墓石安置型・個別安置型・集合安置型・合祀型の種類があり、それぞれ遺骨の取り扱い方や費用などが異なります。
永代供養は亡くなった人の家族や親族に代わり、霊園や寺院が将来にわたって責任をもって遺骨を管理・供養する方法のことを指しています。これまで跡継ぎのいない家庭ではお墓を維持する上で大きな不安を抱えていましたし、墓石購入などの多額の費用負担がネックでお墓を建てられずにいるケースもみられました。永代供養墓であればこうした課題が解消されることから近年話題となっていますが、遺骨を安置する場所や形態に応じていくつかの種類に分かれます。
永代供養墓を安置する場所
"永代供養墓とひとくちにいっても、大きくは屋外に安置される場合と屋内に安置される場合の両方があります。選ぶのであればそれぞれのメリットを踏まえて判断するのがよいでしょう。
まずは屋内に安置される永代供養墓ですが、霊廟型やロッカー型などがその典型といえます。霊廟型は亡くなった人ごとに仏壇が設けられていて、縦長になっている仏壇の下部に骨壷を納めることができるようになっています。スタンダードなお墓とは見た目がまったく異なるものの、機能的には同じものといえます。またロッカー型は建物の壁面にロッカーのような小さな壇が多数設置されており、指定された壇のなかに亡くなった人の遺骨を安置するものです。ほかにも専用のタッチパネルを操作すると、ベルトコンベアーで遺骨が入った厨子がバックヤードから自動で運ばれてきて、その場で参拝できるようなハイテクなつくりのものもみられます。
いっぽうで屋外に安置される永代供養墓である屋外型には、合祀型や納骨塔型などがあります。合祀型は古墳のような外見をした土盛りの下に遺骨を埋葬するようになっていたり、樹林の一角に散骨をするスペースが設けられているようなものを指しています。埋葬にあたり遺骨は骨壷から取り出しますので、他の人との区別はありません。納骨塔型は大きな石塔の地下に遺骨を安置するスペースがあります。"
永代供養墓の種類:個別安置型について
永代供養墓にはさまざまな種類がありますが、なかでも個別安置型と呼ばれるものは、これまでのスタンダードであったお墓のスタイルと同じように、亡くなった人ごとに個別の墓石を建てて供養する方式を採用しています。したがってこれまでのお墓の常識がネックとなって永代供養墓にはなかなか馴染めないという場合であっても、このタイプであればそれほどの抵抗感もなく受け入れることができるといったメリットがあります。それぞれの墓石の下部には唐櫃とよばれる格納スペースが設けられていますので、遺骨はこちらに安置されることになります。個別安置型の場合は個人ごとの墓石を建てる必要があるため、霊園や寺院の境内の膨大なスペースを必要とします。
そのため最初の段階では遺骨が個別に安置されていたとしても、たとえば十七回忌や三十三回忌といった節目の時期が到来した場合には、遺骨が唐櫃から取り出されて他の人の遺骨とともに合祀されることがあります。合祀の時期はそれぞれの永代供養墓ごとに異なりますので、事前にしっかりと説明を受け、納得をした上で申し込みをするのがよいでしょう。なおこのタイプは永代供養墓の類型のひとつですので、遺骨が個別に安置されているか合祀されているかにかかわりなく、霊園や寺院が責任をもって供養をしてくれます。
永代供養墓の種類:集合安置型について
集合安置型は永代供養墓のひとつで、他の人と共有されているスペースのなかに骨壷を安置するスタイルのことを指しています。このタイプは安置する場所こそ共有ですが、遺骨は骨壷に入った状態で他の人のものとは明確に区別されているのが特色です。そのため通常の永代供養墓と違って、将来遺骨を他の墓地に分骨して供養することができますし、他の墓地に改葬することなども可能となっています。そうはいっても遺骨が集合的に安置されており、個別安置型の永代供養墓とは違って境内のスペースをとらず簡素であるという性質上、料金的にはより安価に設定されていることが多いのはメリットです。
集合安置型の場合も個別安置型と同様に、十七回忌や三十三回忌といった一定の年限が到来すると、遺骨が合祀されてしまう取り決めになっていることがあります。このような場合にはもはや分骨や改葬はできなくなってしまいますので、もしもあらかじめ分骨や改葬が予定されているのであれば、合祀される時期よりも前に済ませておかなければなりません。もちろん最初から合祀はされないことを前提としている集合安置型の永代供養墓もあって、これは個々の霊園や寺院の考え方によって大きな違いがあるところですので、かならず事前にチェックをしておくことが必要です。
永代供養墓の種類:墓石安置型について
永代供養墓のなかでも墓石安置型は、これまでのスタンダードとなってきたお墓と外見上の違いはほとんど違いがありません。ここでいうスタンダードなお墓というのは、亡くなった本人や家族、または親戚までを含めたひとつの家系で霊園や寺院の境内に専有できる土地を確保し、柵をめぐらして墓石を建てるスタイルのことをいいます。したがって個別安置型とは違って墓石の種類や色合い、形状などを自由に選べることが多く、亡くなった人にふさわしい創意工夫を凝らしつつ供養ができるところがメリットといえます。それではスタンダードなお墓と比較した場合、墓石安置型の永代供養墓は何が違うのかといえば、まさに永代供養というサービスがプラスされているところに違いがみられます。
スタンダードなお墓の場合、清掃や除草などの作業によって墓域を整然と管理し、一定の年限ごとに法要を主催して供養をするのはそれぞれの家庭の役割でした。後継者がいなくなるなどして役目が果たせなくなった場合には、いわゆる無縁仏の扱いを受けることになっていたわけです。しかし墓石安置型の永代供養墓であれば、たとえ後継者がいなくても寺院などが管理と供養を引き受けてくれるので安心です。寺院によっては夫婦向けや家族向けなどのさらに細かなプランに分かれていることがあります。
永代供養墓の種類:合祀型について
合祀型の永代供養墓はその名前のとおりの意味であり、骨壷から遺骨を出した上で、他の多くの人の遺骨といっしょに埋葬するスタイルを指しています。霊園や寺院の一角に石塔を建てるなどして、そのなかの専用スペースに遺骨をまとめることもありますし、いわゆる樹木葬などのように、屋外の一定の区画のなかに散骨するようなケースもあります。いずれの場合もそうですが、いったん合祀してしまえば他の人の遺骨と混ざってしまって区別することが難しくなりますので、将来の分骨や改葬を検討している場合にはおすすめすることができない方法ではあります。
そのかわりに墓石安置型・個別安置型・集合安置型といった他の方法とは違って、もっとも管理の手間がかからない方法でもありますので、料金的には格安の水準といってもよいでしょう。個別にお墓を建てるだけの資金がないため自宅などの手元で遺骨の供養を続けているものの、後継者もおらず将来的な供養が心配といった場合には、もっともふさわしい方法です。簡素とはいっても他の方法と同様に霊園や寺院が永代にわたり管理と供養を行ってくれるのが強みです。この合祀型の永代供養墓に該当する場合でも、最初の数年間は骨壷に入れたままで個別に供養してもらえることがありますので、あわせて確認しておいたほうがよいでしょう。
以上のように永代供養墓は大きく分けると屋外・屋内の両方のタイプがありますし、スタンダードなお墓のスタイルに近い墓石安置型・個別安置型、遺骨を他の人と合祀してしまう合祀型、その中間の集合安置型までのいくつかの種類に分かれます。それぞれの特色を踏まえて目的に合ったものを選ぶのがよいでしょう。